こんにちは~!みやびです。
みなさんは節薬バッグってご存知ですか?正直聞きなれないな…と思った方も多いはず。
でもこの節薬バッグは医療費の面でも健康増進の面でも重要な役割を果たすんです。
今回はこの節薬バッグって結局は何なんだというのをお伝えしたいと思います!
Contents
節薬バッグもらったけど…困惑する患者。
実家の母から写真とともにこんなラインが届きました。
「父がこんなビニール袋もらってきたわ。集めた薬はどうするんやろ?再利用するん?」
ここで母が言った「再利用」という言葉がどうも引っかかりました。
再利用ってもしかして他の人に薬を渡すっていう意味で言ってる???って思ったからです。
一度人の手に渡った処方薬を薬局で回収して他の人に再利用っていうのはまずあり得ない話です。
飲食店で食べ物を提供している場合も同じようなことが言えると思いますが、それがお薬ともなると命に関わる可能性もありますし、気持ちも良くないですよね。
ちなみに「お薬スッキリバッグ 奈良」でグーグル検索をかけても上位にきちんと説明しているサイトが引っかからないんですよね…。
となると、これは薬局で薬剤師から説明があった上でもらうべきもので、薬をもらう時に何も説明を受けずにこのバッグをもらったとしたら誤解が生じるな…と考えさせられました。
節薬バッグ活動が広がる理由
節薬バッグって何なのか。その名の通り「薬を節約する袋」っていうのは何となく想像がつきますよね。
そもそも残薬(医療機関から処方された薬の飲み残し)を確認するようになるきっかけとなったのが、2012年の調剤報酬改定です。
保険薬局における薬剤服用歴管理指導料の算定要件に「残薬の確認」が追加されてから残薬きっちり確認をする薬局が増えました。
そして福岡市薬剤師会が2013年に「節薬バッグ運動 外来患者の残薬の現状とその有効活用による医療費削減の取組み」(PDFが開きます)という論文を発表し、節薬バッグを用いて医療費削減の為に残薬を減らすことが有用だということが実証され、そこからこの活動が徐々に広がっていきました。
2015年に発表された医療保険財政への残薬の影響とその解消方策に関する研究(中間報告)(PDFが開きます)によると、様々な薬局でこの取り組みがなされ、そこから数百億〜数千億の残薬が存在するということが見えてきたのです。
もちろん2015年の段階で推測される残薬の金額なので、この取り組みが進めば進むほど金額も減るはずです。
節薬バッグの使い方
ここまで長々と書きましたが、肝心の節薬バッグはどうやって使うのかって話ですよね。
特に活用できるとされている対象が薬をたくさん飲んでいる高齢者ですね。
例えば処方されている薬を10種類くらい長期で服用しているとします。
本来ならこの薬を28日分もらったら、28日後には薬はゼロになっているはず。
それなのに手元にある薬はA薬が2錠、B薬は0錠、C薬は3錠…といった具合に残ってしまっている。これが生じてしまった残薬です。
そしてこのことを言わずに、また同じ薬を28日分処方されると…家にある薬がどんどん溜まってくるという悪循環になります。
…って思いますよね。でもそう上手くはいかないんです。
私なんかでも5日間毎食後に風邪薬を服用するだけでもバタバタしてると昼の分とか飲み忘れちゃったりします(笑)
それが毎日、何種類もってなると…高齢でなくても完璧に飲み続けるのって難しいです。
そして残薬が発生したとしても、飲み忘れがあったら先生に怒られるから言わない。薬がたくさんありすぎて、どれを飲んだか分からなくなってしまう。そもそも薬を飲んだかどうか忘れる。などなど…
そこで活用して欲しいのが「節薬バッグ」です。
家に溜まった残薬をこの袋に入れて、いつも薬をもらってる薬局に持っていきます。
そうしたら薬剤師が数を確認して、次回受診時にいつもの薬の処方日数(薬の数)を減らしてもらうように医師に伝えます。
イメージとしては以下のような感じです。
いつも服用している3種類の薬。
A薬が2錠、B薬は0錠、C薬は3錠余っている。
いつも処方される薬
A薬 1日1錠 28日分(計28錠)
B薬 1日1錠 28日分(計28錠)
C薬 1日3錠 28日分(計84錠)
↓残薬調整をすると
A薬 1日1錠 26日分(計26錠)…-2錠
B薬 1日1錠 28日分(計28錠)…±0錠
C薬 1日3錠 27日分(計81錠)…-3錠
こうすることで節薬バッグに入っていた薬をいつもの薬として服用することができ、出された薬の錠数が減ることで、お会計も安くなりますよね。
残薬が減り、医療費の削減にも繋がる。これが節約バッグの狙いなんです。
節約バッグの活用方法
残薬数を口頭で伝えられなければ節薬バッグを使う
ここまで読んだ方の中には、別に節薬バッグを使わなくても、口で何錠残ってるって言えばよくない?って思われた方もいると思います。
…はい。それでも良いんです!
薬局に処方箋を持って行った時に「この薬○錠余ってるんやけど」て言ってくれたら、そこで処方医に連絡してすぐ調節できます。
けど現実、それだけハッキリ言ってくれる人って少ないです。そもそも何錠残ってるってハッキリ言ってくれる患者さんって、マメできっちりしてる人が多い気がします。(経験上)
やっぱり問題となるのは薬の管理があやふやな方や、たくさん飲んでいる方です。
実際に以前働いていた薬局で、今は8種類ほどしか飲んでいないのに、数年分の薬を約20種類持って来られた方もいました。
こんなの口で説明できないですよね。
薬そのものを持ち込むことで有効期限が分かるかもしれない
いつ出された薬か分からないものも、薬局で調べることができるかもしれません。

この薬のシートの中で写真でマルをつけたあたりに、薬のロット(製品情報)がうっすらと刻印されています。
これが分かれば医薬品の有効期限が分かります。これをもとに薬局でも有効期限を調べることができるのです。
ただしシートを切って1錠ずつバラしている場合や、一包化(服用するタイミングが同じ薬をまとめて1袋にすること)されている場合はロットが分からないこともあります。
医師の治療方針の判断材料にもなる
節薬バッグに入った薬の状態から、その方がちゃんと薬を飲んでいるかの判断材料になります。
薬を飲めていないから検査結果が良くならず、さらに薬が追加されるなんてことがあったら…
ますます医療費が膨れ上がり、その方にとっても本来必要のない薬が出され続けるってことにもなりかねません。
また、薬を飲めているかだけでなく、処方医や薬局が把握していない別の医療機関で出された薬を服用しているかどうかも分かります。
例として整形外科で痛み止めもらってるけど、内科の先生には言ってない、みたいなパターンですね。
残薬を確認することが、今後の治療方針に大きく関わることもあるのです。
節薬バッグまとめ
数年分の残薬がたくさん家にあったら、是非節薬バッグに入れて薬局に持って行ってください!
処方変更前の薬や期限切れの薬は処方日数で調整できませんが、それも合わせて薬局でみてくれますよ。
そして自分は関係ないな〜って思ってる若い方、おじいちゃんおばあちゃん、自分の親など、薬をたくさん飲んでいる方が周りにいたら こういうのがあるよ〜って教えてあげてくださいね♪
実家の母に節薬バッグの説明をしたら、「あー、こないだ行ったおばあちゃんの家で数年分の薬を貯めてるのを見たことあるわ!」って言ってました。
※母は高齢の方と関わる仕事をしています
余談ですが、私の父はまだ高齢というには若く、薬を飲み忘れるような性格ではありません。
実家に帰った時もきっちり管理された薬をみて感心してます。
何はともあれ、私自身もこの取り組みを広げないといけないなぁと改めて感じさせたれた日になりました。
長くなりましたが、みなさんのお役に立つ記事となっていればうれしいです♪
それではまた〜(^^)♪