薬剤師の豆知識

【薬の豆知識】いざという時に使う、乳幼児の坐薬。期限や量は大丈夫?

熱さましの座薬の保管方法は?

こんにちは!みやびです。

乳幼児(特に0歳、1歳、2歳くらい)のお子さんを持つご両親なら、「解熱成分の入った坐薬(座薬)」をもらった経験がある方は多いはず。

そして初めて子供に坐薬を入れるときにドキドキしながら入れる。あるあるですよね。私も実際に子供に坐薬を入れる時は緊張したのを覚えています。

今回はその坐薬に関して注意してほしいことを、小児科の門前薬局で働いていた時の例をもとにお伝えしたいと思います(^^)

「前にもらった坐薬」本当に大丈夫?

2歳になったばかりのお子さんの処方箋を持ってお母さんが薬局に来た時のお話です。

処方箋には「アルピニー坐薬200を1回1個、2/3に切って使用」といった旨の記載があります。

お母さんによると「昨晩に39℃近い熱が出て、前にもらった熱さましの坐薬を使ったけど、あまり下がらなかったんです。今朝は38℃くらいに落ち着いているけど、もしまた熱が上がってぐったりした時のために、また坐薬をもらいました」とのこと。

こういうパターンよくあるよね!

ここで私が気になったのは「前にもらった熱さましの坐薬」という点。

そのお母さんの、この小児科しか行ったことがないという話をもとに、お薬手帳や薬歴(患者さんに出たお薬や指導内容などを書いた記録)を見ながらいつお渡しした薬かを調べてみました。

するとお子さんが0歳10か月ごろに薬局に来たときに坐薬をお渡ししたことが分かりました。約1年前でした。

お渡ししていた坐薬では「アルピニー坐薬100を1回1個、3/4に切って使用」という量の指示が書かれていました。

うーん。この指示通りに坐薬を入れていたら効かないかもな…と思ったので、お母さんにその理由を説明しました。

なぜ効かないと思ったか、分かるかな?

予備で置いていた坐薬が効かない理由

理由として考えられることは2つあります。

お薬の使用期限切れ

おそらく多くの方は、お薬をもらった日を基準にした使用期限を意識していると思います。

「この痛み止めは半年前にもらったから、半年くらいだったら大丈夫かな」という考え方ですね。

しかし、メーカー製造→医薬品卸→薬局→患者さん、の流れはスムーズにいっていない場合もあります。

例えばその薬局でたまにしか出ない薬が患者さんに処方されたとしたら?たまにしか出ないため薬局での保管期間は1年以上経っているかもしれません。

薬局では薬の有効期限をきっちり確認して患者さんにお渡ししています。

でもそれは「処方箋が発行された時点で、患者さんが薬を飲み切る(使い切る)までの期間」を想定したうえでの判断し、お渡しするのです。

どういうことか例をあげて説明するね!

2019年2月にAさんにB薬が5日分処方されました。 薬局にあるB薬の使用期限は2019年5月。 Aさんは風邪で今日から薬を飲むと言っています。 そうなるとB薬の期限は3か月後ですが、今日から5日後には飲み切ることができるので薬をお渡ししても問題ありません。

…という判断です。

もしAさんが途中で飲むのをやめてしまい、1年後にまた風邪をひき、まぁ大丈夫だろうと考えてB薬を服用したら…健康被害が生じかねない上に、健康被害が生じても自己責任となりかねません。

けれど熱さましの坐薬で「いざという時のために」置いているとしたら?

置いておくことがダメというわけではなく(実際にはグレーゾーンのような気もしますが…)置いている期間が長すぎたり、薬局が長期で熱さましを置いておくことを想定できていなければ、有効期限が切れている可能性もあり得ます。

ただし、小児科の処方箋をよく扱っている薬局であれは、だいたいは新しい期限のものを渡してくれると思います。

よく出る薬のため常に新しいものをストックしていたり、何も言わなくても「家に置いておく」ことを考慮する薬剤師が多いためです。

いずれにせよ、念のため坐薬を置いておくことを考えている場合は、お薬をもらうときに使用期限を聞くことをオススメします。

ちなみに…アルピニー、カロナール、アンヒバといった先発品の企業が出した情報提供書を見る限りでは、使用期限内(3年・カロナール坐薬100/200は5年)に色んな条件で保管した時の薬の有効成分の変化全くは見られなかったと書いていることから、使用期限を過ぎてすぐに効果がなくなったり健康に影響が出るという感じではないなと思いました。

あくまでも個人の見解ですが、もし「期限をすぎた薬を使ってしまったかもしれない!」と思っている親御さんがいても、そこまで心配しないでくださいね。

坐薬が適正量ではない

さきほどの使用期限切れの可能性については、勤めていた薬局で考えるとまずありえなかったので、今回の件では量が適正量でなかったことを疑いました。

一般的に小児に処方される熱さましの坐薬は「アセトアミノフェン」と呼ばれる成分が含まれています。

商品名で言うと先発品のアルピニーカロナールアンヒバ、ジェネリックのアセトアミノフェンがこれにあたります。

今回はアルピニーを例するけど、どの名前の商品でも同じだと思ってもらって大丈夫だよ!

商品名のあとの数字の意味

アルピニー坐薬には「アルピニー坐薬50/アルピニー坐薬100/アルピニー坐薬200」があります。

商品名の後の数字は「1個あたりに含まれている有効成分の量」を示しています。アルピニー坐薬100であれば、「坐薬1個の中にアセトアミノフェンという有効成分が100mg入っている」となります。

乳幼児に処方されるお薬の量

お薬の添付文書には「通常、乳児、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを直腸内に挿入する。投与間隔は4~6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。」と書いてます。

なんか難しいですよね。

簡単に言うと「体重10kgの子だったら有効成分が100~150mgになるように使ってね!1回使ったら間は4~6時間あけてね!1日にたくさん使ったらダメだよ!年齢や症状によって量を減らしたり増やしたりしてもいいよ!」って感じですね 笑

ここでいう増減っていうのは、医師や薬剤師に向けて発信している内容だから注意してね!

そして添付文書には体重1kgあたり…と記載がありますが、生後3か月未満のお子さんに対しては使用経験が少なく安全性は確立していないので、この点も誤解のないようにお願いします。

ちなみに私が働いていた薬局の前の小児科の先生は体重10kgの子には100mgを処方されていたので、これを基準に考えたいと思います。

実際の坐薬に当てはめる

上の2項目の情報があれば、あとは実際に処方されていた坐薬に当てはめて考えればいいだけです。 今回の例に当てはめます。

お子さんが0歳10か月の時にもらった坐薬は「アルピニー坐薬100を1回1個、3/4に切って使用」だったので、アルピニー坐薬100を3/4個に切ると、残った坐薬の有効成分の量は75mgとなります。

実際にお薬をお渡しした時の記録を確認すると、当時のお子さんの体重は8kgだったので、適正量だったといえます。

そして今回2歳になったばかりのお子さんには「アルピニー坐薬200を1回1個、2/3に切って使用」だったので、アルピニー坐薬200を2/3個に切ると残った坐薬の有効成分の量は約130mgとなります。

お母さんに聞いてみると、お子さんの現在の体重は12.5kgとのことだったので、適正量と言えます。

…もう分かった方もいると思います。今回のお薬の量は1年前の1.7倍必要になっているんです。

まとめ*坐薬の長期保管について

今回お母さんに説明した内容は「乳幼児のお子さんは体重増加が著しい時期です。お子さんのお薬の量は年齢だけでなく体重によって決まることも多いので、1年前のお薬では量が少なく、十分に熱が下がらなかったかもしれません」というものでした。

有効期限のことや、薬の適正量のことを考えると、やはり長期間坐薬を保管したままにするというのはオススメできません

もしいざという時のために坐薬を置いておきたいと思われるようでしたら、半年くらいを目途に受診し、先生に適正量を出してもらったほうがいいかと思います。

そしてなかなか受診するタイミングがない場合や、すぐに使いたい場合は、お薬を出してもらった薬局に相談することも手段の一つです。電話でも大丈夫ですよ。

最近では24時間帯対応している薬局も多いので気軽に薬剤師に聞いてみてください

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです!

それではまた~♪